ボルネオマレーグマ保護センター(以下: BSBCC)はボルネオ島マレーシア領サバ州にある世界最大のマレーグマ保護施設です。
BSBCCには違法飼育、劣悪な飼育環境、ペット取引などの被害にあったマレーグマが運ばれ、2008年の設立以来69頭のマレーグマを保護してきました。現在は43頭のマレーグマたちがセンターで暮らしています。
BSBCCはセピロック森林保護区内に位置し、2.6ヘクタールの熱帯雨林をマレーグマたちの森林放飼場としています。ここで保護されたマレーグマたちを半野生飼育しリハビリした後に野生に帰すこと、また違法飼育されていたマレーグマたちにより良い環境を与えることを目指しています。
さらには教育普及などの啓蒙活動やマレーグマに関する研究を通して多方面から種の保全に取り組んでいます。
野生に限りなく近い環境を提供し、給餌内容の工夫やエンリッチメントを通して感覚を刺激したり、定期的に健康診断をしたりすることで、マレーグマが心身ともに健康に過ごせることを大切にしています。
他個体との交流やエンリッチメントなどで感覚を刺激していく中で、野生復帰できるスキルが身につくようリハビリを日々行なっています。
特に子グマは本能が出現するようスタッフが観察し行動を記録していきます。
研究は保全には欠かせませんが、マレーグマはクマ科の中でもっとも研究が遅れていると言われています。BSBCCはマレーグマの貴重な研究場所として世界中の大学や動物園と協力しています。
国内外での教育は種と環境の保全に欠かせません。BSBCCは地元の学校や、野生のマレーグマに遭遇する可能性の高い村やプランテーションの労働者などへの授業に力を入れています。
BSBCCは世界で唯一マレーグマの野生の行動を観察できる施設。世界中から毎日たくさんの観光客が訪れます。観光は認知拡大になるだけでなく、大きな経済効果を国と地域にもたらし、さらなる保護や環境保全に繋がります。